editor: 佐伯 章
『くにたち未来通信』No.2
1998/10/31
〈市民自治〉〈市民参加〉〈情報公開〉
【編集・発行】上原ひろ子と市民参加でまちをかえよう会
連絡先 安藤聡彦
tel:042-576-0697
fax:042-576-0697***777
<今月号の主な記事>
●上原ひろ子さんってどんな人?
●知ろう! 話そう! 動こう!
旧国鉄清算事業団用地の買収に28億円
●市民がつくった国立の歴史
子どもを育てている人、働いている女性、働きざかりの30代から
70代の人々、ボランティアで活動している方、市政にかかわってい
る人々そして学生、etc. たくさん人々の信望を得て登場した上原
ひろ子さんは一体どんな人なのだろう。私、去年までPTA連合の役
員を務め中学生の子を育てる一主婦が、あれこれいっぱいせまって
みました。
インタビューに現れた上原さんはとてもエネルギッシュ。原稿書
きや勉強会で、寝るのが夜中の1時2時になるのも普通とか。「体
だけは丈夫なの」とニッコリと笑う顔がとてもやさしい。
Q. 上原さんは豊かな自然と人情味あふれる宮崎で育ち、法政大学へ 進学のため上京、一人目の子供誕生後、横浜から国立へ引っ越して こられます。「子どものふるさとを求めて国立へ」と『<環境と開 発>の教育学』の本の中の論文にも書かれていますが、国立との出 会いを聞かせてください。
A. 横浜で住んでいた所は、緑も全然ない、同じ様なビルが建ち並ぶ 町でした。子どもが帰り道を見失うくらい変化のない町の中で、自 分も含めて子ども達も感性豊かに育たないという事を実感し、家探 しをはじめたのです。国立には前に一度来た事があって、素敵な町 だなと思っていましたが、ちょうど駅に降り立った時が12月の初め、 銀杏の黄色い並木が一直線に続いていて非常に感動しました。季節 を楽しめる町。感性が豊かに育つ町。とにかく駅に降りたとたんに 決めました。
Q. 上原さんが運動されてきた場は、いつも人と国立のまちをつなぐ 線上にあると思います。活動を支えてきた理念は何でしょう。
A. 非常に難しいのですが、私は自然とつきあいながら、まちづくり を考えてきました。水問題、滝乃川学園わきの道路問題、第七小学 校を貫通する道路問題などをやってきて、いつもまのあたりにする のは、社会的に一番弱い立場の人に政治のしわよせが来ているとい う事でした。一番弱い立場の人が守られて暮らしができなければ市 民にとって安全なまちとは言えないし、豊かに生きる事はできない。 私はそういう考えでまちづくりを考え、市政を考えています。
Q. 「まち中に生命の交差点を」上原さんのまちづくり構想のキャッ チフレーズですが、具体的な考えをきかせて下さい。
A. これは縦に流れる生命(大人から子どもへと継がれてゆく生命、 その中で生まれる歴史や文化)と、横に流れる生命(人と人との交 わり、コミュニティー、生物の共生など)、2つの流れが交じり合っ て現在の生命が生かされる、それを実感できる町が本当に豊かな町 なのではないかと思うのです。私はいろいろな運動をやってきて、 自然環境が豊かである事が人の気持ちを本当に豊かにしてくれると いう事を感じていますから、それをどう残し、創り出していくのか という事は大きなテーマです。国立の場合、典型的な出来事は景観 騒動です。“国立のまち”の景観そのものが歴史を語ってまちを成 しており、市民は自治運動の積み上げの象徴として大事にして来ま した。だからこそビル群が建ち始めた時非常に怒りを感じたのです。 それはまさに国立市民が生命の流れを大事にしているという事です。 横の流れでいえば教育や福祉でも言えるのですけれども、国立は基 盤整備が進んだなかで、出会いの場が非常に少ない。これからのま ちは、交流があって、自己表現ができて、文化や自然を感じる場が 必要で、そういう可能性を求めて何かできるのではないかと思って います。
Q. 上原さんはとても勉強熱心でビックリするのですが、今かかわっ ているゼミや勉強会はどんな事ですか。
A. 今までいろいろな運動をやっていて、一番大きな壁は法律だとい う事に気づいたのです。“地方分権”といわれながら決定権を自治 体が持っていないという時に、法律をかえていかねばならないとい う事で、“立法学”にかかわっています。もう1つは、どういう風 に組み立てたら生きた政策になるかという事で、地方自治の問題と 福祉の問題を勉強しています。実践的な課題をかかえての勉強です。
Q. 最後に、私はPTA連合で教育委員会から「予算がないから」と散 々聞かされ、実際国立市の教育環境は都内ワースト3です。「何が “文教都市”なの!」と親の間で不満が一杯です。原因は何処にあ るのでしょう。
A. これは何を大事に市政を考えているかという事に大きくかかわる 事で、国立は「文教都市」として教育を大事にしている町であれば、 教育最優先で予算配分しなければいけなかったのです。では今、赤 字財政の中でどう優先順位をつけていくのかという事になります。 市の運営は市民の税金で行われるのですから、ある意味で等しく公 平にという事もあるのでしょうが、市政の第一の目標は、一番弱い 命が安全に生きていくという事をどう保証していくかだと思います。 お年寄りと子ども達、特に子ども達は一番弱い立場にいますから今 すぐ手当てが必要であれば最優先に予算をとりましょう、他の事は 少しがまんして時間が経過するまで待ちましょう、というところが 今可能なところでしょうが、短期的な優先順位についても市民合意 をはかりながら決め、視点はいつも50年先の「まちのかたち」を 描きながら考えていかなければならないと思います。
ワイワイ ガヤガヤ 知ろう! 話そう! 動こう!
旧国鉄清算事業団用地の買収に28億円!!
市の赤字財政に拍車
▼国立市土地開発公社・・・
市民には聞き慣れないこの事業体が、いま市の財政に大穴をあけ
ようとしている。
都市環境の整備を旗じるしに、市に委託されて公共用地を先行取
得する土地開発公社は昨年11月、国立駅南口の旧国鉄清算事業団用
地約5,000�Г鮃愼�した。その額、何と28億円! しかも市議会で
は審議もされない闇の決定。
公社は購入資金28億円を民間金融機関から借り入れるとしている
が、債務保証は「市」が行っており、数年後には市が買い取る仕組
みになっている。
この用地の利用については、全国的に破綻して問題となっている
第三セクター方式で、議会でも論議されたことのない7階建ての多
目的ビル建設という幻の計画があるようだが、現在の経済環境の中
では目途がたたない。“利用目的はないが、とにかく買っておく”
という、計画なき買収の実態が浮き彫りになっている。
いま国立市の財政は、平成7 (1995) 年度から3年連続で経常収支
比率が100%を超える危機的状況にあり、佐伯市長は財政難を喧伝し
ているが、数年後に公社から買い戻さなければならない。28億円を
市民に何と説明するのか。
▼誰にも知らされていない第三セクター計画
「情報公開と市民参加」不在の証し
公社の土地買収は近隣住民に新たな波紋を投げかけている。借金
28億円の利子分を補うために、公社は一時的に用地を236台分の有
料駐車場として使おうとしている。この計画をめぐって、近隣住民
が交通流の予測、安全対策、騒音・振動等への対応を迫ったのに対
して、公社側は資料の提出はおろか説明会すら満足に開いていない。
すでに用地の一部は「市」に賃貸され、駐輪場の建設が始まって
おり、これと連動して公社も1億8000万円をかけた駐車場建設を強
行する構えだ。こうした動きは住民のさらなる反発を生み、遂に住
民監査請求を提出するまでに紛争をエスカレートさせてしまった。
情報公開とは求められて出すものではなく、市民の意見が常に市
政に反映されるために存在する。近い将来に市の赤字財政を膨張さ
せる用地買収問題が事前に情報公開されていれば、市民はこの“利
用計画なきムダ使い”を認めることはなかったし、当然駐車場問題
による住民紛争も起こらなかったのではないか。
<図(省略):駅前ロータリー東南端からの景観>
市民がつくった国立の歴史
住民自治を印象づけた「歩道橋事件」
大学通りにたった一つかけられた歩道橋。これが、日本で初めて
の「環境権」裁判の舞台である。
1969年(S44)秋、国立第三小学校等のPTAが歩道橋設置を求め
る請願を提出、議会で採択されたのが事の発端となった。こうした
推進運動に対し、「文教地区の象徴である大学通りの歩道橋は美観
上かんばしくなく、結果的に車優先の道になる」とした反対運動が
起こった。市民を二分した論争の中で建設は着工されたが、反対し
続ける市民は都を相手に提訴、高裁まで争った。
'73年、訴えは却下に終わったが、「車優先社会」に抗する「環
境権」裁判は全国に拡がっていった。それはまさに、“住民自治が
息づくまち・国立”を印象づけた画期的な運動であった。今日、
「市民祭」に市民が謳歌する「大学通り歩行者天国」は、歩道橋事
件が生んだ人間性回復の大いなる遺産である。さらに、この歩道橋
論争が「人間性を大切にするまちづくり」を基本理念とした石塚市
政の「国立市第一基本構想」の引き金となっている点にも注目した
い。
国立の作家、故・山口瞳さんの「歩道橋ができた最初の一ヶ月は
面白がって渡るが、あと学生は利用しない」という指摘は、今日の
姿を見事に予言している。
連続講座『まちに夢を描く』
第2回『ケーキが結ぶ沖縄と国立〜私がカビラ薯に託すもの〜』
佐藤 但さん(洋菓子『グーデサンク』経営者)
日時:11月28日(土)午後2時〜4時
場所:富士見台2丁目集会所
(くにたち中央図書館南側)
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